TikTokの案件はいくら?フォロワー数とエンゲージメント率で単価が決まる仕組み
フォロワー1万人でも投稿のたびにコメント欄が盛り上がるアカウントと、フォロワー10万人でも「いいね」がほとんど付かないアカウントでは、案件の単価は前者のほうが高くなることが珍しくありません。TikTokの案件(PR投稿)の単価を決めるのは、フォロワー数そのものより先にエンゲージメント率です。この記事では、その仕組みを実際の数字で見ていきます。
案件収入と報酬プログラムはまったく別物
TikTokでの収入を語るとき、よく混同されるのが案件(PR投稿・ブランドタイアップ)の収入と、TikTok Creator Rewards Programのような報酬プログラムの支払いです。
案件収入は、企業やブランドがクリエイターに直接発注し、投稿1本ごとに固定の金額を支払う仕組みです。単価はフォロワー数とエンゲージメント率から個別に交渉され、多くのクリエイターにとって主な収入源になります。
一方、報酬プログラムは対象となる再生数に応じてTikTok側から支払われる仕組みで、1再生あたりの単価はごくわずかです。支払い基準や単価はTikTok側の判断で頻繁に見直され、地域によっても差があるため、ここで具体的な金額を挙げることはしません。ただし言えるのは、案件収入と比べると金額が小さく、変動も大きいということです。腰を据えて収益化を考えるなら、見るべきは案件のほうです。
エンゲージメント率が単価を決める
案件単価の目安は、フォロワー1,000人あたりの金額として計算されます。この単価を左右する最大の要因がエンゲージメント率です。
| エンゲージメント率 | ランク | フォロワー1,000人あたりの単価 |
|---|---|---|
| 6%以上 | 高 | 8〜15ドル |
| 3%〜5.9% | 良 | 5〜10ドル |
| 1%〜2.9% | 中 | 3〜7ドル |
| 1%未満 | 低 | 1〜4ドル |
高ランクと低ランクでは、同じフォロワー数でも単価が最大で15倍近く開きます。ブランドが払っているのはフォロワーという数字ではなく、実際に投稿を見て反応する人の数だと考えると分かりやすいはずです。自分のエンゲージメント率が分からない場合は、エンゲージメント率計算ツールで典型的な投稿のいいねとコメントから算出できます。
フォロワー数を増やすとどうなるか
エンゲージメント率を4%(良ランク)に固定し、フォロワー数だけを増やしていくと、案件単価と月4件の案件をこなした場合の月収は次のように変わります。
| フォロワー数 | 1件あたりの単価 | 月4件の場合 |
|---|---|---|
| 10,000人 | 50〜100ドル | 200〜400ドル |
| 50,000人 | 250〜500ドル | 1,000〜2,000ドル |
| 100,000人 | 500〜1,000ドル | 2,000〜4,000ドル |
| 500,000人 | 2,500〜5,000ドル | 10,000〜20,000ドル |
| 1,000,000人 | 5,000〜10,000ドル | 20,000〜40,000ドル |
フォロワー10万人、エンゲージメント率4%を維持できているクリエイターなら、月4件の案件で2,000〜4,000ドルが目安になります。この数字はあくまでフォロワー数に比例した試算で、実際の交渉では単価がここから上下します。案件が来た際の最初の基準値として使うのが現実的です。
自分の数字で計算する
自分のフォロワー数とエンゲージメント率を入力すれば、1件あたりと月あたりの目安額がすぐに出ます。
目安です。実際の案件料金はジャンル、フォロワーの質、内容、交渉次第で変わります。
フォロワー数よりエンゲージメントが効く
表Bはフォロワー数を動かした試算でしたが、今度はフォロワー数を10万人に固定し、エンゲージメント率だけを変えてみます。
| エンゲージメント率 | ランク | フォロワー10万人での1件単価 |
|---|---|---|
| 8% | 高 | 800〜1,500ドル |
| 4% | 良 | 500〜1,000ドル |
| 2% | 中 | 300〜700ドル |
| 0.5% | 低 | 100〜400ドル |
同じフォロワー10万人でも、エンゲージメント率が8%か0.5%かで単価は最大15倍違います。これは表Bのフォロワー数による差(10万人と100万人で10倍)よりも大きな振れ幅です。フォロワーを増やすより先に、既存のフォロワーとの関係を濃くするほうが単価への影響は大きいということです。
案件以外の収入源
案件が中心的な収入源であっても、TikTokで稼ぐ手段はそれだけではありません。
- TikTok Shop・アフィリエイト: 商品を紹介し、実際の購入に応じて成果報酬を受け取る仕組みです。
- ライブ配信の投げ銭(ギフト): 視聴者からリアルタイムで送られるバーチャルギフトを換金します。
- 報酬プログラム: 前述のとおり対象再生数に応じた少額の支払いで、単独で生活を支えるには変動が大きすぎます。
- 自社商品の販売: グッズ、デジタル商品、自分のサービスをフォロワーに直接販売する収入で、プラットフォームの規約変更に左右されにくいのが利点です。
育ってきたアカウントほど、案件とこれらの収入源を組み合わせて収入全体を安定させている傾向があります。
試算がずれやすいポイント
- フォロワー数と実際のリーチを混同する: フォロワーが多くても、アルゴリズムによる表示が伸び悩んでいれば、ブランドが期待する露出は得られません。単価交渉では直近の再生数や保存数も材料になります。
- ジャンルを考慮しない: 金融やビジネス系のように広告主が高値を出すジャンルと、エンタメのように単価が抑えられがちなジャンルでは、同じフォロワー数・同じエンゲージメント率でも実際の提示額は変わります。
- 試算を確定価格だと思い込む: ここで示したレンジはあくまで交渉の出発点です。ブランド側の予算、キャンペーンの規模、過去の実績によって最終的な金額は上下します。
- 二次利用権や独占契約の追加費用を忘れる: ブランドが投稿を広告として二次利用する権利や、一定期間他社の案件を受けない独占契約を求める場合、通常の投稿単価に上乗せの交渉が必要です。これを見落とすと、実質的に安く働くことになります。
よくある質問
YouTubeのように、ジャンルによって単価は変わりますか。 変わります。金融、ビジネス、テック系のジャンルは広告主の需要が高く、同じフォロワー数・エンゲージメント率でもエンタメ系やライフスタイル系より高い単価が付きやすい傾向があります。ここで示したレンジは全ジャンル共通の目安なので、自分のジャンルが単価の高い分野であれば上限寄り、そうでなければ中央値あたりを基準にするのが妥当です。
二次利用権や独占契約がある場合、ブランドは追加で払いますか。 払うのが一般的です。投稿をブランド自身の広告として配信する権利(いわゆるホワイトリスティングや二次利用権)や、契約期間中は競合ブランドの案件を受けない独占条項は、通常の投稿単価とは別枠の交渉項目です。相場は権利の範囲や期間によって幅が大きいため、案件が来た時点で個別に提示するか、見積もりに明記しておく必要があります。
フォロワー1万人未満のナノ・マイクロインフルエンサーは、実際どのくらいの提示を受けますか。 表Bのとおり、フォロワー1万人・エンゲージメント率4%であれば1件50〜100ドルが目安です。ただしこの層はブランド側からの直接オファーが少なく、自分から企業に売り込む必要がある場面が多いのも実情です。単価自体は低くても、フォロワーとの距離が近いぶんエンゲージメント率は高く出やすいので、そこを交渉材料にできます。
ネットで見かける「案件はフォロワー1人あたり◯円」という単一の相場を信じていいですか。 参考程度にとどめるべきです。同じフォロワー数でも、エンゲージメント率、ジャンル、二次利用権の有無、ブランドの予算規模によって単価は数倍単位で変わります。単一の数字がひとり歩きしていることが多いので、ここで示したレンジのように、複数の要因を掛け合わせて考えるほうが実態に近づきます。